100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「そっぽを」

地元の高校を受験することになった

中堅の公立高だったから
自分達の中学から
四十人近くも出願した

四十人全員で高校に願書を出しに行く際
クラス委員をやっていたこともあって
僕が取りまとめを任された

校門に入ったら
会う人には愛想良く挨拶した方がいいとか
願書渡すときは行儀良く整列した方がいいとか
逐一注文を加えた
良い印象を持ってもらうというより
とにかく悪い印象は
与えないように
でも
この日ばかりはバカもヤンキーも
やたらとしおらしかった

さて
いざ四十人分の願書を出す段になって
僕は最後の確認をしたくなって
事務室前のテーブルに願書を取り出し
がさごそと何人かで
人数と枚数を合わせていった

僕の好きだった子が
まだみんな誰が受験するか
わからないんだから
見せない方がいいんじゃないと指摘した
いや、
今みんなで来てるじゃないか
今更だ と僕は反論した

すると彼女はぷいと振り返って
行ってしまった

なんかわからない
変なモヤモヤしたものが
心に堆積して
これは意中の私立に落ちて
不本意な受験への溜息か
無事提出の責務を果たした安堵か
これから挑む最後の試験への緊張か

帰りの電車
解放されて騒ぎ回っている
同級生達の中で
ひとり無口になる