100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「秘密基地」

小さな小屋を見つけた

友人と川に行く途中に
雑草にまみれてポツンと佇んでいた
なんに使われていたのか
今までもあったのか
恐る恐る中に入るが
ニスの匂いのするがらんとした空間は
子供心を存分にくすぐった

見知らぬ下級の子が上級の人が
その小屋に引き寄せられるように群がって
秘密基地となった
上級の女の子が日曜の明日
お菓子とジュースを持ってくると
下級の男の子が
じゃあゲーム持ってくるって
ワクワクしながら朝日を待った

友人にはその遊びは
そぐわないからと断わられて
仕方なしに一人で小屋に向かった
昨日から面識はあるも
話したことのなかった同級生がいて
ずっと一緒に行動した

今までほぼ接点のなかった二人が
何故か意気投合し
あたかも旧知の仲のように
お互い振る舞いあった
夕方頃、持ってきた菓子を下級生が
無断で食っていることに
上級生が激怒して
その淡い秘密基地の活動は
突然に終了となってしまった

翌日の学校
その同級生と廊下ですれ違った
ところが不思議とお互い
目も合わさず
挨拶すら交さなかった

あの小屋がくれた
一日限りの親友という
魔法だったようにそれは思えた

数日後
その小屋の周りは
黄色いロープが張り巡らされ
入れなくなってしまっていた