「時空を泳ぐ」
6時35分に3回目の目覚ましで起きる
5分微睡んでシャワーを浴びる
いつものチャンネルで時間を測って着替える
そのテレビは必ず7時ぴったりに
煽り運転やら監視カメラやらの
トピックスを流すので胸糞悪い気分になって
外に出る
それで会社には8時10分には着く
始業の30分には十分余裕がある
これが朝のルーティンだ
ある日微睡みの時間が長かった気はしたが
時計を見たら40分だった
いい目覚めでいつもの行程を踏む
その日は土曜日なので少しテレビの内容が違うが
00分にはまた胸糞トピックスが流れて
家を出た
土曜日の電車は空いているからいい
天気もすこぶる良かった
30分を過ぎた頃
滅多に来ないLINEが部下から届いた
“大丈夫ですか”とのこと
どういうことだ?と訝って
“何が?”と問う
頭を巡らせる 朝から外出する用事があったか
早朝の会議でも予定されていたか
そんな巡った視線の先の乗り換えホーム
次の到着電車の時間が視界に入って
混乱する
一 1時間、遅い 一
なんのことはない
電車遅延なり、体調不良なり何かある時は
必ず時間前に連絡するのに
心配した部下が早々安否を確認しただけだ
私の周りだけ
1時間遅れて時間が流れ
時計の針はその時に一瞬にして元に戻った
遅刻の認識のない遅刻は
その日の天気のように
もはや清々しかった