100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「煙草」

電子タバコを切らせて
鞄の奥底に
潰れていた紙巻きタバコを
久しぶりにふかした
火をつけて
最初のひと吸いをすると
ひと夏の海辺を思い出す

僕達は海に来ていた
肩を並べて同級生と海をみている

「BIGになってやるよ」
なにでBIGになるんだよ…
「何処にいてもわかるように
BIGになってみせるぜ 見てろよ」
だからなにでって…
僕の根拠のない言葉に同級生が呆れて繰り返す

フィルターまで吸った煙草を
砂に突き刺して火を消す
海の家にいつもの銘柄が無くて
やむ無く買ったいつもより高めのタールが
頭をクラクラさせてくる

沖で他の同級生が二人
仲良く波に揺れているのが見える
ジリジリを身体を焼くいい天気だ

もう一人は拠点となるシートに仰向けで
身じろぎもしない
最初の入水からクラゲに刺されて
それ以来不貞腐れぎみだ

風が髪を煽ってそれを嫌がる
口の中がいがらっぽくって
コーラで押し流した

まったく 女っ気ねえなぁ…

暗がりの中
赤い灯が消えて
思考も立ち消えた
口の中のいがらっぽさだけ残して
大人になった自分が
我に帰る