100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「作品」

小学生の娘の夏の宿題で
防災のポスター作成が出された
多少絵心のある父親がある夏の夜に
日本酒をチビチビ呑み
娘の絵に助言し筆を片手に
ほろ酔い気分で手心を加えていくと
おお、なかなかいい絵が出来上がった

これはもしかしたら
佳作ぐらいいけるんじゃないか
聞くところでは、いい作品だと
市のコンクールに出されるとの事
妻がそんなわけないだろと呆れるのを
尻目にちょっと色めきだった
ところが秋口にその絵は佳作どころか
市の最優秀賞を取ってしまい
一年間市内中に防災ポスターとして
貼られることになってしまった
ちょっと手心が行き過ぎてしまったらしい

消防署の受賞式に招かれ
賞状を持ちながら
すまし顔でセンターに陣取る
娘の写真と共に
映えあるはずのその出来事は

それから数年間その家では
箝口令が敷かれるものとなり
タブーな内容であり続ける黒歴史となった