100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「意に反して」

夏の野球場にて

甲子園常連の私立の強豪校には
10人近い女子マネージャーがいた

スタンドにニ列になって
選手に漏れてしまった数十人の部員と一緒に
バルーンスティックを叩いている
その中にひときわやる気のなさそうな子がいた
おそらく下級の子
それは動きから見て感じるだけで
その実チームの勝利を 
渇望しているのかもしれないが
見れば見るほどだるそうに見えた

なんでそこにいるのだろうかと
ステイタスとして話せるから?
友達に誘われた?
他のマネが点のたびに弾ける喜びを見せても
彼女の温度は低かった
地区大会の準々決勝もそのチームは圧勝し
次にコマを進めた

夏休み初日であるその日
勝ち続けるほど休みは減っていくのだろう
ああ、早く負けないかなぁ なんて
思ってないだろうか
もし、その憶測が正しければ
彼女の願いは叶わなかったことになる

その年そのチームは全国優勝してしまったから