100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「復讐」

僕と親友はクラスの女子に虐められていた
明確に嫌悪をもっているようではなかったが
いじりはもう超えていた
なんと言っても僕らは不快だったのだ

そんな中2の夏休みに林間学校はあった
天候に恵まれた2泊3日の楽しいはずのイベント
僕らはやっぱりいじられ続けた
もう少しだけ精神的にも大人であれば
笑いにいなせる術もあろうがまだ成長途中の
ブヨブヨの人間の蛹たちはもう苦痛でしかなかった

最後の夜は肝試しだった
男女2人づつ4人で1つの懐中電灯を頼りに
所定の場所にある札を取って帰ってくる
あろうことか僕らの班には
主犯格の女子が1人入っていてひどく憂鬱だった

みんなはしゃぎながら
時間を置いて暗闇に入っていく
中盤で僕らの班も出発した
道は思ったよりも
段差が多く足場も悪く距離も長かった
僕らはバスケ部だった 
日頃クソほど走らされている
もう1人の女子は陸上部の中距離専門だ
ただ、主犯格の子は演劇部で運動は得意でない

少しずつ主犯格が遅れていく
ところが親友は灯りを持ってずんずん先に
行ってしまう
何度も少しゆっくり歩こうよと彼に言っても
全く聞く耳を持たなかった
はるか前方に行ってしまった親友と
すっかり見えなくなってしまった主犯格の中間で
僕と陸上部の子は途方に暮れてしまった

山の眼下の街の灯りと頼りない電灯の下
しばらく待っていると後続の班が
大泣きしている主犯格を抱えて僕らの前に現れた
真っ暗の中しゃがんで泣いていたらしい

そんな僕らがキャンプ場に戻ると
話を聞いた女子達は当然のことながら親友を
烈火の如く罵った それはすざましいものだった
一悶着がようやく収まって
僕らは男子全員が雑魚寝するコテージに入った
なんだかとっても複雑な気持ちを抱えながら

するとみんなが
ざまあみろだ、やるじゃねぇか と
次々と僕らの肩を叩いて賞賛するのだ
なんだなんだと呆気にとられていると
少し遅れて担任が入ってきて僕らの輪に入ってくる
開口一番親友をよくやったと褒め
僕には少し見習えよと頬を歪めてたしなめた

男としてお前は弱い
きっとそういうことなのだろう