「側の自販機には」
その昔セブンイレブンが本当に
7時から11時までの営業時間だった頃
だいぶ遅れて僕らの街にも
一店舗建った
それは当時とてもとても衝撃的だった
激しい色のフラッペが2機ぐるぐるまわり
暖かいあんまんや肉まんが
ブースに収まっている景色
街灯さえ乏しい道にあって
そこだけ夜遅くまで煌々としていた
新しいものの好きな友人は
スイミングの帰りに何かしらかを必ず買って
うまそうに食っていた
買い食いの許されない家が厳しい僕は
そんな様を指を加えて羨ましがった
そんなひどい田舎
でも僕はそれよりかなり後に
家の近くにアサヒの自動販売機が
設置された時の方がもっと衝撃は強かった
歩いて1分程度の業者の倉庫の横に
夜もずっと明るいそこで
いつでも冷たいジュースが買える
無駄に朝早く起きて100円を握りしめて
買いに行く そしてそれを
なぜか起きてきた家族に自慢げに話した
「朝早く目が覚めちゃって、自販機までジュース買いに行ったんだよ」
何を買ったか、何を飲んだかは
どうでもよかった