ホームで各駅停車を待っているが
隣のホームの急行電車が
なかなか発車しない
車両の中央にある
赤いランプが眩しく灯る
扉のすぐ傍に頼りなく立っている
ひどく太った親父が
立ち上がっては
またよろよろとしゃがんで
周りのサラリーマン達が
倒れないように手を預ける
酔っているだけならまだいいが
とにかく脂汗をかいて顔面蒼白だ
大丈夫ですと主張するが
抵抗むなしく
数人の駅員に促されてやむなく
電車を降ろされる
あまりに大きいので
段差でろよけて倒れそうになった駅員を
私はあわてて支えた
急行は数分の遅れを呈して
走り出した
両脇を駅員に抱えられた
その親父を残して
ゆっくりとスピードを上げていく