100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「19歳」

19歳だった
いろんなものを犠牲にして
ずっと頑張ってきたつもりだったけれど
今年の春も
どこの大学も僕を入れてくれなかった

悔しいとか、悲しいとか
そう言う感情はなかった
ただただ自分が憎くてしょうがなかった
殺したいくらい憎かった
自殺する人が
今の苦しさから逃げるような
この世を悲観するような
そう言うものではなかった
ただ自分が嫌で嫌でしょうがなくて
血反吐吐かして殴り殺したかった
殺したいほど憎い他人をそうしたいように
自分が憎くて殺したかった
お前みたいなクズはこの世からいなくなれと

予備校のそばに何レーンも連なる線路の上を横切る
高い歩道橋があった
飛び降りるには随分いい場所だなって
その街に来た時に思っていた

その日も電車が何回も行き来していた
19車両目が通り過ぎた時
僕は鉄柵をそっとなぞり
金網を掴んだ


あれから20年の時間が流れた
決して納得できる人生ではないけれど
泣いたり笑ったり喜んだり
相変わらず苦しんだり悩んだりしながら
私はここに生きている

あの時全てだった想いはその年月の分だけ
希薄になって今は思い出すことすらない