100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「演劇」

僕は目立たないように生きてきた
なのにさ

秋の文化祭で中3はクラスごとに
劇をやらなければならない
考えだだけでも舞台にいる自分は耐えられなかった
だから高倍率の裏方を志望した
そしてジャンケンで負けた
だから何かの配役に就かなければならなかった
せめてものとナレーターを志望した
ナレーターは女子がいいと
脚本を書いた女生徒が言うのを制して無理矢理
その役について影で大ブーイングをくらっていた
夏休み中の練習には罪滅ぼしに毎回参加した
苦労して自分を捨てて
周りの自分のキャラクターに反して
期待に応えようとした
受験期の夏なので人の集まりは悪かった
演者が足りなかった
それで原住民Cという配役も頼まれた
ナレーターで少し破れた殻で渋々ではあったが
担うことになった
ボロボロの服を着て身体中に茶色のペイントで
舞台に上がった

ナレーターは結局みんなの期待に叶うほど
自分を捨てきれなかった
原住民Cも恥ずかしくてなるべく陰で演じた
けれど舞台自体は大成功だった

ちょっとだけ蹴破った自分の殻は
少しだけ感動というものを
もたらせてくれたようだった
集合写真の隅に茶色い顔をして
はにかんだ笑みの自分がいる