100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「火の粉」

二泊三日の林間学校は
最後に各組ごとに練習してきた歌をうたっていく
キャンプファイヤーで締めくくられる

赤い炎が優雅に燃えて
透き通った声が夜空に消えていく
星が綺麗に見える最後の夜

赤い光の端に腕組みをして立っている女性
2組の若い女性の担任は
プライドが高いと有名だった
クラスを強制的に統率しどんな事にも
他のクラスに劣っていることを許さず
徹底して鍛え上げ作り上げてきた
それは自我が目覚め出した5年生にはもう
忌み嫌う存在だった
そんな噂は離れた僕らのクラスにも流れてきている

僕らの後に4組、3組と歌いつなぎ
彼女のクラスが歌い出す
するとやや強い風が吹いてきた
やぐらの炎を大きく揺らし
火の粉がふわっと、しかし断続的に2組の生徒達に降りかかる
男子はその火の粉を手で祓い足で蹴る真似をし
女子は身を捩って交わそうと試みる
配列は大きく歪んで歌どころではない

それが彼女は許せなかった
慌てて彼らの前に行き整列を促す
歌よりも大きな声で叱り飛ばしていた

それは炎の中で暴れる鬼子のようで
とても醜いものだった