「霜焼けとあかぎれ」
冷凍庫の中で
野菜を捌く仕事をしている妻の両手の指が
ひどく霜焼けて膨らんでいる
この冬、食器を洗うのは私の日課になった
ある日、今度は手のあちこちがあかぎれて
血が滲んでいる
ハンドクリームを丁寧に塗ってやった
若い頃は爪にネイリングを施して
すらっとした綺麗な指をしていた
今は葉をもぎる力で
爪のあちこちに白い線が入っている
指ひとつひとつも
芋虫のようになんとなく、まあるい
隠せない手の皺を見つめながらふと思う
お互い歳をとりましたね、と
若かった頃の手が懐かしいって
彼女は嘆いていたけれど
私は頑張って生きている証のような
この指の方がずっとずっと素敵だなって
言ってもきっと共感されないから
心の中でひっそり呟く
それはとても愛おしく
私の手の中で今、小さく小さく収まっている