100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「香水」

彼女はグッチのエンヴィという
香水が好きだったが
俺はどうにも苦手だった
彼女とてそれがいい匂いだからと
愛用していたわけではない
ブランド志向の高い彼女にとって
「グッチ」だから「いい匂い」なのだ

そのグッチの鋭い香水の匂いには
常々辟易させられていたが
一人暮らしの俺の部屋を徐々に支配し
やがて家の匂いになり
そして乳臭い匂いに成り代わって
その存在を消した

店先でたまにテスターを見つけては
興味本位で嗅いでみて
今となっては
懐かしさで当時を思い出すが
それをつけていた可愛かった彼女は
可愛かった彼女は
今何処を探しても
なぜかみつからないのだ