100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「父の後ろ」

団塊の世代を生きた父は
育児には協力的ではなかった

たまの休みも
家にいては電卓を打ち
母が仕事だと言っては
父をゴルフに送り出していた

同級生が、出来たばかりの
「ディズニーランドに今度行くんだ」
とか チケットのまだ取りにくい
「後楽園球場にこの前行ってきたんだ」
とか言うのを尻目に
日曜日の午後ひとり壁に向かって
キャッチボールをしながら
眺めた夕日はいつしか
父親像のアンチテーゼを生み出し
その代名詞であるゴルフ
ゴルフなんか絶対やるものかと
心に決めさせていた

家を出てから
たまに実家に帰っても
特に話すこともなく
長い時間が過ぎていったが
先日ずいぶんと長く話をした
家庭の事を 仕事の事を 家族の事を

そんな長い話をした場所が皮肉にも
ゴルフの打ちっ放し場だった

私も社会人になって十数年
仕事の辛さ厳しさを
知った今となっては
父に対するわだかまりなどは
とうの昔に消え去ってしまっていたのだ

最近
私が甥や姪と戯れているのを見て
年老いた父がこんな事を言うのだ
「もっと子供の頃、お前たちと接してやればよかったな」と

そんな時、私は
聞こえないように こう呟くのです
「あなたの子育ても、そんなに悪くなかったですよ」って