100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「パンを買う」

パンを買ってくるのです

母、違うのです
パンを食べたいわけでは
ないんです

彼の街は給食が無かった
何度も議会では議論されてきたらしいが
親の温かみを大事にしたいと
弁当を親が作る大切さを
尊重してきた

多くの母親がめんどうくさがる中
彼の母は愛情たっぷりの
弁当を作ることを惜しまなかった
それは
有り難いことではあったが

学校の校門の真ん前に
なんでも売っているお店があった
学校で使うもの
縄跳びやら文房具やら
その店がパンを朝に販売していた

一部児童がほぼ毎日
一部児童がたまに
家の都合で通学時に立ち寄って
昼食のパンを買ってから
門をくぐる

好きなパンを選び、金を払う
その店のロゴの入った紙袋を
昼休みにおもむろに机に出す

たまにはみんなみたいに
パンを食べたいと彼は母に言った

でも、母は
パンを買ってくるのです
希望どおり買ってきてあげたよと
朝持たせるのです

母、違うのです
パンを食べたいわけでは
ないんですよ