100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「窓の景色」

 

合格発表がなされる前に
スケートを滑りに行こうなんて
縁起でもない
卒業を間近に控えた最後のイベントに
学校が仕掛けたのは
そんな遠足だった
始めての氷の上で
散々七転八倒しての帰路
慣れない筋肉を使って
疲れた身体をシートに投げだして
高速道路の外の田園を眺めていた

もうあと数日で
中学も終わってしまうのだ
ずっと一緒にいたこいつらとも
お別れなのだ
そう思うとついしんみりし
バスの中、女子が選曲して流れる曲が
それにとてもマッチして
感傷的になる

「これ、いい曲だな なんていう曲?」
隣の友人が女生徒に聞いて回ってくれた
「still love her だって」
「へー」そう言って
また外の行き交う車を眺めた

みんな同じだったのに
どんどん
離れていってしまうのだろう
これからどんな世界が
待っているんだろうか
僕はちゃんと大人になれるのかな
僕はしっかり生きていけるのかな
夕焼けに夜が徐々に被さってきて
民家の灯りが眩く輝いている

僕は、変わらずにいられるのかな
窓に映る自分に
そっと問いかけてみた