100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「大型トラック」

今日予備校からもらった
年末最後の模試も
散々な結果だった
呆れるくらいに点が取れていなかった
一年の浪人生活で得た力が
結局この程度のものだったのかと
情けなくて、情けなくて
駅からの家路を
不安と焦りと
自己嫌悪に包まれながら
ただ、ただ下を向いて歩いていた

道のすがら目の前に
大型トラックが停まっていた
荷下ろしをしている作業員の横を
すり抜けようとすると
不意に声をかけられる
地元の同級生だった

中学卒業以来の再会だった
商業高校を出た後
運送屋に勤めだして
給料も安いし
同僚もどんどん辞めていくし
もうすぐ自分も辞めるんだよ
なんて再会を喜びながら
満面の笑みで
そんな事を話していた

一緒に駆け回った小学校の校庭
隣の席でふざけ合った塾の机
彼は大きな荷台の扉を閉め
足早に高い運転席に乗り込んで
去っていった

取り残された僕の顔はきっと
恐ろしいほど青白く
正気の無いように見えた事だろう

灰色の煙を巻き上げ
大きな車が視界から
どんどん小さくなっていく