「絶対勝てよ」
町内対抗の運動会の運営に駆り出された
同一地区のいくつかの町内に分かれて
競うそれは
終始和気藹々とはしていたが
瞬間瞬間でメラメラと
勝利への執着があちこちで
ほとばしって見えた
運営の立場上、公平であるべきであるが
やはり自分の町内の結果は気になるところ
競技を待つ列を整列させていても
見知らぬガキ共に期待してしまう
終盤、自分の町内は数点を追って
最終競技を迎えた
有志で参加者を募り入場門に並べて点呼を取る
座って仲間内で雑談しているガキ共を見ていて
思わず、「おい、絶対勝てよ」と声をかけた
なんだ、このおっさん…と言う感じで
キョトンとしながら
彼らはグラウンドに入っていった
結果は圧勝
ちょっと嬉しくなった
戻ってきたガキのひとりが
「約束通り勝ったぜ」と遠くからかけてきた声に
親指を立てて応えてやる