100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「8ミリフィルム」

カタカタと音が鳴り続け
フィルムが機械に入っていく
白い壁に荒い画像が映し出され
子供の自分が動いている
終活の身辺整理として
実家に帰るたびそのようなものが
転がっている

木の匂いのする真新しい家で
はしゃぐ 僕
華やかに装飾された運動会で
必死に走る 俺
大きな公園で水を避けながら
夕日を背に岩で佇む 私

度々起こる画像のブレと
フォーカスのズレに
古い機材のツマミをひねっては
調節を繰り返す
音もなく私たちは
確実にそこに生きていた証

大気の埃を照らしながら
映写は場と時を変え
続いていったが
突然画面は白くなり
フィルムの端が
落ち着く場所を失って
機械のボディを断続的に
カタンカタンと叩いていく

ゆっくりスイッチを切ると
ライトが消え今まで以上の静寂が
とてもとても切なく感じた

こうしてそのフィルムは
今、その役目をついに終えた