100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「懺悔」

今日、ついにあのチームが
優勝するかもしれない!
チケットは取った
時間も大丈夫
後は家にいる
産まれたばかりの子供を抱えた
妻への説得を
でも何を言ったって
快くは承諾されるはずもない
「いいよね、あなたは…」などと
白い目で見られるのが関の山だ
もちろんわからなくもない 当然だ
でも
何年応援し何年待ったというのだ

そこで一芝居打った
土曜に研修が入ったと言い
朝早くからスーツで家を出た
アパートのそばの車に隠していた私服に着替え
スタジアムに向かう
応援の熱いゴール裏は
早く行かないと取れないのだ
幸い秋口の天気は過ごしやすく
合流した友人と呑気に
日向ぼっこをして
2時の試合を楽しみに待った

ひとしきり盛り上がって
とっぷり日がくれた頃、帰路につく
台所から妻の声だけが聞こえる
「ずいぶん遅かったのね」
玄関横の洗面台で手を洗いながら
「いや、ずっとカンヅメ。キツい研修だったよ」と
見上げた鏡に目が止まる
そこに見事に陽に焼けた赤い顔
冷蔵庫に速やかに辿り着き
冷えた缶ビールを一気に
飲みほした

いゃあ、研修後のビールは美味い
なんて…