100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「蜘蛛の糸」

夜中に一人で残業をしていると
天井に吊るしているパソコンのLAN線から
小さな蜘蛛が降りてくる
一度降りてきては上がってを繰り返して
煩わしかったのでボールペンで絡めて
手繰り寄せる

隣の机の同僚は蚊はがんがん殺すくせに
蜘蛛を殺すと怒るらしい
そんなことが頭をよぎって
テッシュで優しく包んで暗闇の窓の外に逃した

暫く仕事を続けていると
また一匹の蜘蛛が降りてきた
あれ、出し損ねたかと目を凝らすと
さっきのより少し大きい気もする
同じように絡めてみるが取り逃して床に落ちる
逃げるそいつをテッシュに包んで
今度は目視して外に出した

ふとこんな事を思ってみる
蜘蛛の糸、かな
もし俺が地獄に落ちたら意地悪しないから
一本垂らしてくれよな、って