100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「仕事があることがありがたい」

勤務先が閉鎖になる
そのことで酷くおちこんでいた
支店のひとつが無くなるだけなので
仕事の補償はされている
僕は来月から違うところに配属されるだけだ
だけど、長くいた場所だから
気持ちは未だ整理つかず
これを機会に次も見つけていないのに
辞めてしまおうかとも考えていた

理由の一つはお世話になった顧客に申し訳ないと
思う気持ちと
閉鎖に至る会社への憤り
さらには全く違う仕事が待っていることへの
気後れだった
まぁまだ20代だから何とかなるさという
楽観的なところや
こんな感じで辞める自分かっこいいなんて
いうのも否定できなかった

そんな中
今日もお世話になった顧客にへの会計整理
今日は中国籍の初老の女性だった
気性の激しい方で何度もやり合っては
仲直りを繰り返していた思い出深い方だった

話の中思わず愚痴も出でしまう
ところがその人が穏やかに言うのだ
“でも、仕事があることはありがたいことだ”
いやいやそうではなくてですね…
もう、後が続かなかった
果てしない大陸で育ちこの国に来たこの方の
今までの苦労はいかばかりか
そんな人からついて出た言葉が軽いわけがない

それはわかっているのだけれど
若い翼は共感されない不満に燻り
もやもやした気持ちを残して飛び立てずにいた