川の向こうに敵がいるぞ
対岸の土手に向かって石を投げる
家の真裏にある広い土手で
そんな遊びを親友とたまにする
僕の石はいつも川に落ちて届いたことがない
惨めに波紋を作っていく
友達の投擲で放たれた石はたまに届いて
その時は2人で思い切り喜んだ
敵を倒したぞ
それでは僕もと
助走を大きくつけて投げるが
気張るほど遠くへは飛ばなかった
足元に無数にある土手の砂利から
手頃な重さで手頃な大きさのものを
選んで対岸の敵と戦った
その敵の正体は何なのか
いつも感じる歯痒い思いは何なのか
その本質に辿り着く前に
土手は舗装され柵に覆われてしまって
学校が上がった時にはそんな事はもうすっかりと