100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「大輪の花」

仕事帰りに腹に響くような破裂音がして
駅の真上に大きな花火を見た
ああ、今日はそんな日だったなと
花火が上がっている最中で
電車に乗れるタイミングに安堵した
以前花火終わりの乗客で溢れかえった改札口に
鉢合わせて酷い目に遭ったのだ

もう暑い中
誰かと花火を見に行くこともなくなった
ましてや浴衣など
育児も終えたサラリーマン

手の離れた子供達と昔肩を並べて観た景色
花火の彩りが瞳にきらきらと映っていた

今はほとんど喋らなくなった妻
彼女とは、
あれ、
彼女とは二人で観た記憶がない

つくづくめんどくさがりやだったなと
サラリーマンは過去を振り返る
妻を喜ばすことなんかあったかな
こんな綺麗な景色をたくさん見せて
あげられたかな

足を止めて
目の前に大きく咲き開く
大輪をそんなことを考えながら
呆然と眺めた