100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「青臭くて」

就職したばかりの一年後輩が
上司に毎日さんざん怒られ続けて
次の春にもうしんどくて
辞めたいんですよね、って
俺に呟いた

大してキャリアも違わないのに
なんとか励ましたいと思って
ある日ふざけて喋っている終わりしなに
あらかじめ書いておいた手紙を渡した
まだ慣れてないんだから仕方がないとか
適当にやっていこうよとか
きっとそんなことを書いた
結局いなくなるのが寂しかったんだ
そして、もし心動いたとしてもこの手紙のことは
以後一切触れてくれるなと最後に記した

それから5、6年経って
どっかの飲み会の席で
酔った勢いでそいつが
「あの手紙のおかげでまだここで仕事ができるんです」って曰うのだ
もう苦笑いするしかなかった

働いて数年しか経ってない若造が先輩風吹かせて
偉そうに人生論を手紙でしたためたのだ
本当はそこで辞めていたらそいつにはもっと
いい人生があったかもしれないのに
そんなリスクをそんな責任を
お前は持つ覚悟があったのかと
当時の自分に言いたかった

でも、そいつは
職場結婚して二児をもうけ家を建て
そしてあれから10年経った今、
俺よりも出世している

まぁ、よかったのかな って