100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「特典」

土曜日の勤務が終わって
夕方に場末のラーメン屋に行った
空いているカウンターで
麺をすすっていると
ひとつ開けた席に青年が腰を下ろした

携帯を見せて何やら店員と話をしている
ああ、なんかクーポンのようなものだろう
なんて目の端に捕らえながらも
大して気にも留めずに麺を運び続けた

やがて青年のもとにも
どんぶりが置かれた
すると店員が大きな声で言うのだ
「お客さん今日お誕生日です。おめでとうございます!」
他の数人の店員も呼応して
「お誕生日おめでとうございます!」
と声を張る

驚いて不躾にも青年を見た
店員が去った後、目があって思わず
二人で苦笑いを交わした

カウンターに貼ってあるその内容
スマホ登録の会員様
誕生日につけ麺無料サービスします、と