100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「呟き」

中3の秋も深まった体育の授業に
年末まで続く種目はバレーボールだった
とは言え技術などはもう教わらない
受験生の息抜きにとチーム対抗で
リーグ形式で試合をやらせてくれるのだ
それは勉強で締め上げられている僕らにとって
たまらなく楽しい時間になるはずだった

チーム作りでの出来事
その方法は皆で推薦したリーダー5人が
1人ずつメンバーを選んでいくことから
始まった
まず運動に長けている人間が抜かれていく
今度は2人で3人目を選んで
仲の良い奴を選択する
体育座りをして指名を待つ生徒が
少しずつ少しずつ減っていく

僕は次第に表情を険しくし
背筋を伸ばし誰とも喋らず
じっと1人の男を見ていた
中盤終わりあたりで僕は呼ばれた
誘ってくれた仲間には悪いが
ニコリともしなかった

やがて残りは少なくなってきた
残った奴は自ずと身を寄せ合い
自我を保つことに必死だった
残った者同士で楽しそうに振る舞って
話す笑顔はどれも強張っていた

“ひでぇことしやがる”

隣にいる体育教師に
聞こえるかどうかの声で
そうつぶやいた