「悲しい結末」
7回裏の6点差ツーアウト満塁
カウントはツースリー
最後のボールは明らかに大きく外れて
ミットに収まった
小学生の時からボールを追っかけていた
投げて捕って打つそんな単純なことが
ただ面白かったはずだった
入った高校はチームを作れるほど部員がいなかった
最後の大会は同じく部員不足の複数の高校との
連合チームで挑まざるを得なかった
遠い学校同士の練習はままならなかった
当然守備で小さな連携ミスが積み重なっていく
日が暮れるまで仲間とボールを追っかけていた日々
楽しいって何だっけ 嬉しいって何だっけ
回が重なるごと
細かい一つ一つで点を積み重ねられていった
サードランナーがゆっくりとホームを踏んで
自陣も相手のダグアウトも審判さえも
深いため息とともに動きが止まる
球場の全てが静まり返った
え、これで終わり
全力で駆け抜けた長い日々の結末は
それは拍子抜けするほどあっけなくて
涙さえも出てこなかった