100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「心模様」

闇ですっかり包まれてしまった
プラットホームに電車が到着して
多くの人が吸い込まれていく
高校生の彼氏だけが乗り込んで
眼鏡の小柄な彼女はその流れから
離れていった
バイバイ、と挨拶したきり
彼は向こう側の窓に向いたまま

振り向いてあげればいいのにな
と横目でずっと盗み見る
彼女は人を掻き分け掻き分け
必死に彼を見つめるが
すでに彼の心は何処へやら

扉が閉まって
ゆっくり動き出す電車
彼女が二、三歩駆けて手を振った
少しだけ顔を向けた彼に
マスクを下ろして
満面の笑みを見せてみる