「しおり」
古本屋を物色していると
何回も買っては売ってを繰り返している
本に出くわした
既に二、三回は読んでいるはずの本を
何気なく手にして
パラパラめくっていると
しおりのように小さなメモ紙が
挟まっていて
そこにはこう書いてあった
“あなたは私のことが好きですか?
そして、私はあなたのことが大好きです
byななえ”
なんか変な文書だな、と思いながら
ふと、読書好きな彼に
もっと振り向いてほしい彼女が
そっと忍ばせてみた
そんな想像が膨らむ
しばらく悩んだ後
挟んであった場所にメモ紙を戻して
レジに向かった
そのページを開いた時
彼がどんな気持ちだったのか
ちょっとでも感じとれるだろうか
しおりは好意を寄せている主人公が
落ち込んでいる彼女を
慰めているシーンに挟まっている