100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「鞄に吊るした帽子」

夏の野球場にて

小さくて幼い感じの子だった
試合の始まるだいぶ前から
前方の席に1人で座っていた
縛っていた髪を一度ほどいて
髪には縛っていた跡が残っていた
それでまた縛って試合前の選手の練習を
スマホでしきりに撮っている
少しずつ客席に人が集まってきて
同じ学校の生徒が4人隣に座った
知らない人に押されて鞄を抱えて縮こまり
居心地がとても悪そうだった

試合が始まって遠くに知り合いを
見つけて、弾かれるようにそこにいく
端の人に一言二言話したら頭を撫でられ
ひとつの席を譲ってもらう たぶん先輩
席を譲ってくれた人に深く頭を下げて
席を立ってスタンドを降りていった

どうしたものかと思ったら
約束した知り合いが来たらしかった
程なく2人になって前を通り過ぎていった

試合の後、最寄りの駅で彼女を見た
楽しそうに友人と話をして電車を待っていた
笑顔の方が素敵だと思った