100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「週末のプール」

薄曇りのあまり暑くもない日だった
でも8月最後の日曜日ということもあって
県内有数の規模を誇る公益プールでは
その日もやっぱり人が多かった

プールそばの木陰はどこもすぐ埋まってしまって
俺ら家族はかなり入口近くのアーケードに
陣取るしかなかったが
スペースが多く取れたので広く茣蓙を敷いて
贅沢に陣取ってみた
すぐ近くに売店もあって
子供達も色めきだっていたので
それはそれでまぁ良かったと思っていた
流れるプールに行っては疲れて戻ってきて
波のプールに行っては寒くなって帰ってきて
そんな感じを繰り返し繰り返して過ごした

茣蓙を敷いた時から実は
ずっと気になっていた光景がある
目の先にそのカップルがいた
どうも2人とも敷くものを忘れてしまったらしい
浮き輪なども持っていなく彼が手拭いのような
薄く短い自分のタオルを彼女の下に敷いて
二人で焼きそばを啜っている
彼は身体が拭えずしきりに手で水滴を払っていた
じかに置いた2つの鞄が空々しく
彼の鞄は非防水性の普通の鞄で
なんかあんまり楽しそうには見えなかった

それではお尻が痛いだろうに
戻る度に気になった
せめて水辺では楽しく過ごしてくれていることを
切に期待しながら
俺は何度目かのスライダーに子供と走り出した

3時を回るかどうかで帰ってくると
彼らはもうそこにいなかった
彼女に惨めな思いさせんなよ
帰路の2人がどんな会話をするのか
弾む会話を祈りながら思いを馳せる