100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「騙しごと」

従兄弟の結婚式に父がスピーチを頼まれ
話の冒頭で僕らが幼い頃
独身主義同盟を結んでいたことで笑いをとった

そう、確かにそんな話をその新郎である従兄弟と
弟とよく話をしていた
女なんてめんどくさい、結婚なんかだるい
もちろんそれは自分の心を保つための
強がりに過ぎなかった
話したいのにどう接して良いかわからなくて
若い頃の自分は不審な行動を繰り返し
そして勝手に傷ついていた

こんな辛い気持ちになるのなら
いっそ嫌ってしまえ 
そんな感じだ

でも、そんなスタンスを築いていながら
自分では何もしないくせに
それでもありがちなドラマのようなシーン
たまたま同じ本に手をかけるような
そんな光景をいつも望んでいた

棚からぼた餅が落ちるようなことを
自分は砂漠の真ん中にいるのに待っていた
そこには何百年経っても
ぼた餅など落ちてくるはずが無かった

そんな歪な時期を過ぎて
僕は遅いながらも生きることに慣れてきた
従兄弟はあれからすぐに離婚したが
僕はとりあえず激しいながらも長い
婚姻生活を続けている
ただ弟は、僕たちが引き摺り込んだ
弟は未だに砂漠を歩いて
幻想を追い求めていることを知って
少し後ろめたく思っている