100%な朝を迎える方法

平凡な毎日の何気ない出来事を切り取っていく

「サボり」

すこしサボりたくなってきた
なんだかサボりたくなってきた
どうしてもサボりたくなってきた

今日はサボりたい
サボってみたい
時間が経つごとに
ふつふつとその想いが強くなって
ついに決行することにしたのだ
授業が六時間目まであって
そのあと委員会があって
その委員会が延びたと言い訳すればいい
4時半のスイミングのバスに
乗れなければいいのだ
今まで一度も休んだことなんか
なかった
熱出たって皮膚炎患ったって
行かされてきた
これは新しい挑戦なんだ、
それくらいの気位だった
僕はサボる、
そう友人達に公言した
しかし、ことのほか委員会は
早く終わってしまって
真面目な友人がそれはダメだよと
僕のランドセルを引っ張る
僕は柱にしがみついた
サボるのだ!どうしても!
同じスイミングに行く奴が
帰っていき
いつも一緒に帰る奴が諦めて
学校を出た
北風が吹き荒む
なんだかすごく寒い夕方だった
もう間に合わない時間まで粘って
家に帰った
だって仕方がないじゃないか
委員会が延びたんだから

台所で母が静かに言う
学校の側で荷物を届けるために
自転車で寒風の中ずっと
待っていたのだと
園児の弟も寒さの中じっと
荷台に乗って兄を
待っていたのだと
お腹が空いたろうと
お菓子とジュースを持って
何時間も待っていたのだと

暖かい家の中で食べたその
持ってきていた菓子は
呵責の念で味がまったくしない

母は知っているのだった
全てを